星

レベル1(初級)


ある夜よる、世界中せかいじゅうの人々ひとびとが空そらに何なにか変へんなものを見みました。

それは星ほしでした。

しかし、それは普通ふつうの星ほしではありませんでした。

その星ほしはとても明あかるかったです。ほかの星ほしよりも明あかるかったです。ある人ひとは、それは白しろい火ひのようだと言いいました。ある人ひとは、それは小ちいさな太陽たいようのようだと言いいました。

人々ひとびとは上うえを見みて、それについて話はなしました。

「あの星ほしは何なんですか」と人々ひとびとは聞ききました。

「新あたらしい星ほしですか」

多おおくの人ひとは分わかりませんでした。

しかし、何人なんにんかの科学者かがくしゃはその星ほしをとても注意ちゅういして見みました。

一人ひとりの科学者かがくしゃは小ちいさな町まちに住すんでいました。彼かれは望遠鏡ぼうえんきょうを持もっていました。毎晩まいばん、彼かれは望遠鏡ぼうえんきょうで空そらを見みました。

ある夜よる、彼かれはその新あたらしい星ほしを見みました。

最初さいしょ、彼かれはわくわくしました。

「新あたらしい星ほしだ!」と彼かれは言いいました。

しかし、そのあと彼かれはもう一度いちど見みました。

そしてまた見みました。

そしてまた見みました。

すぐに彼かれは心配しんぱいになりました。

彼かれはたくさんのメモを書かきました。紙かみに数字すうじを書かきました。夜遅よるおそくまで働はたらきました。

何時間なんじかんもたったあと、彼かれは立たち上あがり、静しずかに言いいました。

「この星ほしは動うごいています。」

その星ほしは一ひとつの場所ばしょにとどまっていませんでした。

それは宇宙うちゅうを動うごいていました。

そして地球ちきゅうに向むかって動うごいていました。

その科学者かがくしゃはほかの科学者かがくしゃに手紙てがみを書かきました。

彼かれはその星ほしについて話はなしました。

すぐに世界中せかいじゅうの多おおくの科学者かがくしゃが空そらを見みました。

彼かれらは望遠鏡ぼうえんきょうを使つかいました。計算けいさんをしました。

しばらくすると、彼かれらはみな同おなじことが分わかりました。

その星ほしは近ちかづいていました。

地球ちきゅうに近ちかづいていました。

何人なんにんかの科学者かがくしゃは怖こわくなりました。

一人ひとりの年としをとった科学者かがくしゃが、人々ひとびとのグループにゆっくり話はなしました。

「その星ほしはただの星ほしではありません」と彼かれは言いいました。

「それは大おおきな燃もえる世界せかいです。」

彼かれは止とまり、下したを見みました。

「そして、それは私わたしたちの世界せかいの近ちかくに来きています。」

しかし、世界せかいのほとんどの人ひとはこれを知しりませんでした。

人々ひとびとはただ明あかるい星ほしを見みていました。

人々ひとびとはそれが美うつくしいと思おもいました。

夜よるになると、人々ひとびとは通とおりに立たって空そらを見みました。

子こどもたちは空そらを指ゆびさしました。

「見みて!」と子こどもたちは言いいました。

「明あかるい星ほしを見みて!」

笑わらう人ひともいました。

願ねがいごとをする人ひともいました。

その星ほしはしるしだと言いう人ひともいました。

多おおくの町まちで、人々ひとびとはカフェやレストランでその話はなしをしました。

ある人ひとは、それは幸運こううんの意味いみだと言いいました。

別べつの人ひとは、それは悪わるいことの意味いみだと言いいました。

しかし、人々ひとびとは本当ほんとうのことを知しりませんでした。

毎晩まいばん、その星ほしはもっと明あかるくなりました。

すぐにそれは夜よるの空そらで一番いちばん明あかるいものになりました。

それは山やまや海うみの上うえで光ひかりました。

それは町まちや農場のうじょうの上うえでも光ひかりました。

海うみの上うえの船ふねは、その明あかるい星ほしを見みました。

船乗ふなのりたちはそれを見みて話はなしました。

「あんな星ほしを見みたことがありますか」と一人ひとりの船乗ふなのりが聞ききました。

「いいえ」と別べつの船乗ふなのりが言いいました。「ありません。」

科学者かがくしゃたちは研究けんきゅうを続つづけました。

彼かれらは昼ひるも夜よるも空そらを調しらべました。

何度なんども何度なんども数字すうじを確たしかめました。

ついに、一人ひとりの科学者かがくしゃが記者きしゃのグループに話はなしました。

「その星ほしは地球ちきゅうの近ちかくを通とおります」と彼かれは言いいました。

「地球ちきゅうにぶつかりません。しかし、とても近ちかくを通とおります。」

記者きしゃたちはこれを新聞しんぶんに書かきました。

すぐに世界中せかいじゅうの人々ひとびとがそのニュースを読よみました。

多おおくの人ひとはそれを信しんじませんでした。

「科学者かがくしゃは心配しんぱいしすぎです」と人々ひとびとは言いいました。

しかし、怖こわくなる人ひともいました。

星ほしが近ちかづくにつれて、変へんなことが起おこり始はじめました。

空気くうきは暖あたたかくなりました。

その年としの冬ふゆはいつもほど寒さむくありませんでした。

雪ゆきは早はやくとけました。

川かわの水みずは増ふえ始はじめました。

ある場所ばしょでは天気てんきが急きゅうに変かわりました。

強つよい風かぜと激はげしい雨あめがありました。

別べつの場所ばしょでは、とても暑あつくなりました。

農家のうかの人々ひとびとは畑はたけを見みて首くびを振ふりました。

「変へんな天気てんきだ」と彼かれらは言いいました。

その星ほしはまだ大おおきくなり続つづけました。

毎晩まいばんもっと大おおきく見みえました。

すぐに人々ひとびとは昼ひるでもそれを見みることができました。

青あおい空そらの中なかの白しろい光ひかりでした。

世界中せかいじゅうの人々ひとびとがそれを見みました。

祈いのる人ひとも多おおくいました。

家いえの中なかで待まつ人ひともいました。

科学者かがくしゃたちは大おおきな心配しんぱいをしながら見みていました。

彼かれらはその星ほしがとても強つよいことを知しっていました。

それは宇宙うちゅうを動うごく大おおきな火ひの世界せかいでした。

その重力じゅうりょくは強つよかったです。

それは地球ちきゅうを引ひいていました。

それから海うみが動うごき始はじめました。

最初さいしょ、変化へんかは小ちいさかったです。

しかし、すぐに水みずはどんどん高たかくなりました。

大おおきな波なみが海うみを動うごきました。

ある波なみは陸りくにぶつかりました。

船ふねは水みずの上うえで投なげられました。

多おおくの場所ばしょで海うみは陸りくの奥おくまで入はいりました。

海うみの近ちかくの町まちは水みずでいっぱいになりました。

人々ひとびとは高たかい場所ばしょへ走はしりました。

人々ひとびとは持もてるものを持もちました。

しかし、多おおくのものが失うしなわれました。

暑あつさも強つよくなりました。

空気くうきは暑あつくて重おもく感かんじました。

北きたと南みなみの氷こおりがとけました。

多おおくの山やまから雪ゆきが消きえました。

川かわはもっと大おおきく、もっと速はやくなりました。

嵐あらしはもっと強つよくなりました。

風かぜは町まちや森もりでうなりました。

木きが倒たおれました。

家いえが壊こわれました。

人々ひとびとは安全あんぜんでいようとしました。

それでも星ほしはまだ近ちかづいてきました。

それは空そらでとても大おおきくなりました。

今いま、それは燃もえる世界せかいのように見みえました。

それは恐おそろしい光ひかりで輝かがやきました。

強つよい人ひとでも、それを見みると怖こわくなりました。

「これで終おわりだ」と言いう人ひともいました。

そして一番いちばん近ちかい時ときが来きました。

その星ほしは地球ちきゅうの近ちかくを通とおりました。

とても近ちかくを通とおりました。

海うみはとても大おおきな波なみになりました。

山やまが揺ゆれました。

人々ひとびとの足あしの下したで地面じめんが動うごきました。

町まちは倒たおれました。

森もりは燃もえました。

大おおきな風かぜが世界中せかいじゅうを走はしりました。

何時間なんじかんもの間あいだ、地球ちきゅうは大おおきな混乱こんらんの中なかにあるようでした。

人々ひとびとは恐おそれて叫さけびました。

動物どうぶつはあらゆる方向ほうこうに走はしりました。

空そらは火ひと雲くもでいっぱいでした。

しかし、ゆっくりとその星ほしは地球ちきゅうのそばを通とおり過すぎました。

少すこしずつ小ちいさくなりました。

恐おそろしい風かぜは止とまり始はじめました。

海うみはゆっくり元もとの場所ばしょに戻もどりました。

嵐あらしは弱よわくなりました。

多おおくの日ひのあと、空そらはまた静しずかになりました。

地球ちきゅうは今いまとても変かわっていました。

多おおくの町まちはなくなっていました。

多おおくの土地とちが変かわっていました。

しかし世界せかいはまだ生いきていました。

地球ちきゅうの高たかい上うえで、その星ほしは宇宙うちゅうの旅たびを続つづけました。

それは太陽たいようから遠とおくへ動うごきました。

空そらの中なかでだんだん小ちいさくなりました。

すぐにまた普通ふつうの星ほしのように見みえました。

そしてある夜よる、人々ひとびとはもうそれを見みることができませんでした。

遠とおい宇宙うちゅうで、ほかの惑星わくせいは静しずかに太陽たいようの周まわりを動うごいていました。

ある小ちいさな惑星わくせいで、天文学者てんもんがくしゃたちは空そらを見みていました。

彼かれらはその変へんな星ほしが別べつの世界せかいの近ちかくを通とおるのを見みました。

彼かれらはそれについてメモを書かきました。

一人ひとりの天文学者てんもんがくしゃが友ともだちに話はなしました。

「面白おもしろかったですね」と彼かれは言いいました。

「ええ」ともう一人ひとりの天文学者てんもんがくしゃが言いいました。

「小ちいさな惑星わくせいの近ちかくを星ほしが通とおりました。」

彼かれらはもう一度いちど望遠鏡ぼうえんきょうで見みました。

「あの世界せかいの生命せいめいは、とても大変たいへんな時間じかんを過すごしたでしょう」と彼かれは言いいました。

それから彼かれらはまた静しずかな仕事しごとに戻もどり、平和へいわな星ほしを見続みつづけました。

レベル2 (中級)


ある夕方ゆうがた、空そらに奇妙きみょうな新あたらしい星ほしが現あらわれました。

最初さいしょは、ほとんど誰だれもそれに気きづきませんでした。夜よるの空そらは星ほしでいっぱいで、その星ほしも小ちいさく遠とおくに見みえました。人々ひとびとは仕事しごとのあと家いえに帰かえり、家族かぞくと夕食ゆうしょくをとり、特とくに何なにも考かんがえずに眠ねむる準備じゅんびをしました。

しかし、一人ひとりの男おとこはそれに気きづきました。

彼かれは天文学者てんもんがくしゃでした。天文学者てんもんがくしゃとは、空そらを研究けんきゅうする科学者かがくしゃです。毎晩まいばん、彼かれは小ちいさな観測所かんそくじょで望遠鏡ぼうえんきょうを使つかって空そらを見みていました。彼かれの仕事しごとは、星ほしや惑星わくせいを観察かんさつし、その位置いちを記録きろくすることでした。

その夕方ゆうがた、彼かれは何なにか変かわったものを見みました。

あるはずのない場所ばしょに星ほしがあったのです。

最初さいしょ、彼かれは自分じぶんが間違まちがえたのだと思おもいました。もしかすると、ノートに数字すうじを書かき間違まちがえたのかもしれません。あるいは望遠鏡ぼうえんきょうが正ただしく動うごいていなかったのかもしれません。

彼かれはもう一度いちど確たしかめました。

そして三回目さんかいめも確たしかめました。

それでも星ほしはそこにありました。

それは新あたらしい星ほしでした。

その天文学者てんもんがくしゃはとても興味きょうみを持もちました。彼かれは毎晩まいばんその星ほしを観察かんさつするようになりました。すると、すぐに彼かれを心配しんぱいさせる別べつのことに気きづきました。

その星ほしは動うごいていたのです。

最初さいしょ、その動うごきはとても小ちいさいものでした。ほかの星ほしと位置いちを比くらべなければ、ほとんど分わかりませんでした。しかし毎晩まいばん、少すこしずつ場所ばしょが変かわっていました。

天文学者てんもんがくしゃは多おおくの正確せいかくな測定そくていを行おこないました。そして、さまざまな国くにの天文学者てんもんがくしゃに手紙てがみを書かきました。

「この星ほしを見みてください」と彼かれは書かきました。「あなたが何なにを見みるか教おしえてください。」

まもなく世界中せかいじゅうの多おおくの観測所かんそくじょが、同おなじ場所ばしょに望遠鏡ぼうえんきょうを向むけました。

数日後すうじつご、科学者かがくしゃたちは同おなじ結論けつろんに達たっしました。

空そらに見みえるその物体ぶったいは普通ふつうの星ほしではありませんでした。

それは宇宙うちゅうを進すすむ巨大きょだいな燃もえる世界せかいでした。

そして太陽系たいようけいに近ちかづいていました。

最初さいしょ、この情報じょうほうを知しっていたのは科学者かがくしゃだけでした。普通ふつうの人々ひとびとは、夕方ゆうがたの空そらに明あかるい新あたらしい星ほしが現あらわれたと思おもっただけでした。

町まちや村むらでは、人々ひとびとがその話はなしを始はじめました。

「あの星ほしを見みて!」と誰だれかが言いいました。

「今夜こんやはとても明あかるいね。」

子こどもたちは興奮こうふんしてそれを指ゆびさしました。夕食ゆうしょくのあと一緒いっしょに歩あるいていた恋人こいびとたちは、その美うつくしさを見みて立たち止どまりました。これまでに見みた中なかで一番いちばん美うつくしい星ほしだと言いう人ひともいました。

新聞しんぶんもその星ほしについての記事きじを書かき始はじめました。

「空そらに新あたらしい星ほし」という見出みだしの記事きじもありました。

科学者かがくしゃたちは、それが珍めずらしい発見はっけんだと説明せつめいしました。多おおくの読者どくしゃはその話はなしを面白おもしろいと思おもいましたが、特とくに重要じゅうようだとは考かんがえませんでした。

結局けっきょく、星ほしはとても遠とおいものだからです。

どうして星ほしが地球ちきゅうの生活せいかつに影響えいきょうするのでしょうか。

しかし天文学者てんもんがくしゃたちは研究けんきゅうを続つづけました。

毎日まいにち、新あたらしい計算けいさんを行おこないました。彼かれらはその奇妙きみょうな物体ぶったいの速はやさと進すすむ方向ほうこうを測はかりました。日ひがたつにつれて、彼かれらの心配しんぱいは大おおきくなりました。

その星ほしはとても速はやく動うごいていました。

そして、その進すすむ道みちは地球ちきゅうに近ちかづいていました。

ある夕方ゆうがた、科学者かがくしゃたちのグループが集あつまり、この問題もんだいについて話はなし合あいました。

一人ひとりの年配ねんぱいの天文学者てんもんがくしゃがゆっくり話はなしました。

「この物体ぶったいは本当ほんとうの星ほしではありません」と彼かれは言いいました。「それは燃もえるガスと岩いわでできた大おおきな世界せかいです。太陽たいようの重力じゅうりょくの中なかに入はいり、私わたしたちの惑星わくせいへ向むかっています。」

別べつの科学者かがくしゃが重要じゅうような質問しつもんをしました。

「それは地球ちきゅうにぶつかりますか。」

年配ねんぱいの天文学者てんもんがくしゃは首くびを振ふりました。

「いいえ。私わたしたちの計算けいさんでは、地球ちきゅうの近ちかくを通とおります。しかし、とても近ちかくを通とおるでしょう。」

彼かれは少すこし考かんがえてから続つづけました。

「その重力じゅうりょくが大おおきな問題もんだいを起おこすかもしれません。」

やがてそのニュースは新聞しんぶんにも広ひろまりました。

今回こんかいは見出みだしもずっと大おおきくなりました。

「星ほしが地球ちきゅうに近ちかづいている!」

多おおくの人ひとは好奇心こうきしんを持もってその記事きじを読よみました。科学者かがくしゃをすぐに信しんじる人ひともいれば、不可能ふかのうだと言いって笑わらう人ひともいました。

「どうして星ほしが地球ちきゅうに近ちかづくんだ」と人々ひとびとは言いいました。

「きっと間違まちがいだ。」

しかし毎晩まいばん、その星ほしはさらに明あかるくなりました。

数週間すうしゅうかんのうちに、誰だれでもその変化へんかが分わかるようになりました。

それは空そらで一番いちばん明あかるいものになっていました。

普段ふだんは星ほしを見みない人ひとでさえ、それに気きづきました。

星ほしが近ちかづくにつれて、不思議ふしぎなことが起おこり始はじめました。

まず天気てんきが変かわりました。

その年としの冬ふゆはあまり寒さむくありませんでした。雪ゆきはいつもより早はやくとけました。春はるが来くる前まえに川かわの水みずも増ふえ始はじめました。

農家のうかの人ひとたちは畑はたけを見みながら、この暖あたたかさについて話はなしました。

「今年ことしの冬ふゆは変へんだ」と彼かれらは言いいました。

やがて変化へんかはもっと大おおきくなりました。

海うみの様子ようすがいつもと違ちがい始はじめました。潮しおの高たかさはこれまでにないほど高たかくなりました。海うみの水みずは浜辺はまべをおおい、海うみの近ちかくの道みちにあふれました。

海うみを航海こうかいしていた船ふねは、突然とつぜん大おおきな波なみが現あらわれると報告ほうこくしました。

天気てんきが穏おだやかなときでさえ、水みずは激はげしく動うごきました。

科学者かがくしゃたちは理由りゆうを理解りかいしました。

近ちかづいてくる星ほしの強つよい重力じゅうりょくが地球ちきゅうを引ひいていたのです。

同時どうじに空気くうきも暖あたたかくなりました。

毎日まいにち、気温きおんが上あがりました。北きたと南みなみでは氷こおりがとけ始はじめました。多おおくの山やまから雪ゆきが消きえました。

大量たいりょうの水みずが海うみへ流ながれ込こみ、川かわは大おおきくなりました。

そして強つよい嵐あらしが世界中せかいじゅうで起おこりました。

激はげしい風かぜが大地だいちを通とおり、家いえや森もりを壊こわしました。暗くらい雲くもの中なかで雷かみなりが光ひかり、長ながい時間じかん雨あめが降ふり続つづきました。

今いまでは多おおくの人ひとが、何なにか大変たいへんなことが起おきていると理解りかいしました。

最後さいごの数週間すうしゅうかんで、その星ほしは空そらでとても大おおきなものになりました。

夜よるには強つよい白しろい光ひかりで輝かがやき、満月まんげつよりも明あかるく見みえました。昼間ひるまでも、青あおい空そらの中なかで淡あわい光ひかりとして見みえることがありました。

望遠鏡ぼうえんきょうで見みると、その表面ひょうめんは火ひのように燃もえているようでした。

その光景こうけいは多おおくの人ひとを恐おそれさせました。

世界せかいの終おわりが来きたと思おもう人ひともいました。

家族かぞくは集あつまり祈いのりました。海うみから遠とおい山やまへ逃にげようとする人ひともいました。

しかし科学者かがくしゃたちは、一番いちばん危険きけんな時ときが近ちかづいていることを知しっていました。

ついにその星ほしは、旅たびの中なかで一番いちばん地球ちきゅうに近ちかい場所ばしょに来きました。

その日ひ、地球ちきゅうでは大おおきな混乱こんらんが起おこりました。

海うみは巨大きょだいな波なみとなり、陸りくへ押おし寄よせました。海岸かいがんの町まちは波なみの下したに消きえました。船ふねはおもちゃのように遠とおくまで投なげ出だされました。

地震じしんが大地だいちを揺ゆらしました。

山やまも震ふるえました。

激はげしい風かぜで森もりは倒たおれました。

空そらは厚あつい雲くもと雷かみなりの嵐あらしで暗くらくなりました。

何時間なんじかんもの間あいだ、世界せかいは壊こわれてしまうように見みえました。

しかし、ゆっくりとその星ほしは遠とおざかり始はじめました。

その道みちは地球ちきゅうを通とおり過すぎ、さらに宇宙うちゅうの奥おくへ進すすんでいきました。距離きょりが遠とおくなるにつれて、地球ちきゅうを揺ゆらしていた力ちからも弱よわくなりました。

風かぜはだんだん静しずかになりました。

大おおきな波なみも海うみへ戻もどりました。

嵐あらしは去さり、あとには静しずけさと破壊はかいだけが残のこりました。

多おおくの土地とちは永遠えいえんに変かわってしまいました。

海うみの下したに消きえた町まちもありました。引ひき裂さかれた大地だいちには新あたらしい湖みずうみや川かわができました。森もりは燃もえたり、嵐あらしで倒たおれたりしました。

しかし地球ちきゅうそのものは生いき残のこりました。

その後ごの数週間すうしゅうかん、星ほしは空そらでだんだん小ちいさくなりました。

夜よるごとに小ちいさく暗くらくなり、太陽たいようから遠とおざかっていきました。やがてまた、たくさんの星ほしの中なかの普通ふつうの星ほしのように見みえるようになりました。

そしてある夕方ゆうがた、完全かんぜんに見みえなくなりました。

遠とおく離はなれた太陽系たいようけいの別べつの場所ばしょでは、ある惑星わくせいの天文学者てんもんがくしゃたちがこの出来事できごとを興味深きょうみぶかく観察かんさつしていました。

彼かれらは強力きょうりょくな観測機器かんそくききで、その奇妙きみょうな星ほしが地球ちきゅうという小ちいさな青あおい惑星わくせいの近ちかくを通とおるのを見みていました。

一人ひとりの天文学者てんもんがくしゃが記録きろくに短みじかいメモを書かきました。

「興味深きょうみぶかい天文学的てんもんがくてき出来事できごとだ。さまよう星ほしが太陽たいようの小ちいさな惑星わくせいの近ちかくを通とおった。」

彼かれの同僚どうりょうは静しずかにうなずきました。

「そこで何なにか重要じゅうようなことが起おこったのだろうか。」

二人ふたりはしばらくその質問しつもんについて考かんがえました。

それからまた静しずかな仕事しごとに戻もどり、穏おだやかな星空ほしぞらを観察かんさつし続つづけました。

レベル3 (上級)


初はじめのうち、その星ほしに気きづいた人ひとはごくわずかでした。

それは澄すんだ白しろい光ひかりを放はなちながら、突然とつぜん空そらに現あらわれました。最初さいしょは無数むすうの星々ほしぼしの中なかの小ちいさな一点いってんにすぎず、ほとんどの人ひとはほとんど注意ちゅういを払はらいませんでした。しかし、天てんを研究けんきゅうする人々ひとびとである天文学者てんもんがくしゃたちは、それほど不注意ふちゅういではありませんでした。彼かれらが望遠鏡ぼうえんきょうをのぞくと、そこに奇妙きみょうなものが見みえたのです。

その新あたらしい星ほしは、星ほしがあるはずの場所ばしょにはありませんでした。

ある夕方ゆうがた、静しずかな観測所かんそくじょで一人ひとりで働はたらいていた天文学者てんもんがくしゃが、惑星わくせいを観測かんそくしているときにそれに気きづきました。最初さいしょ、彼かれはきっと何なにかの間違まちがいだと思おもいました。望遠鏡ぼうえんきょうの調整ちょうせいが正ただしくなかったのかもしれません。あるいは、記録きろくに何なにかを書かき間違まちがえたのかもしれません。しかし、観測結果かんそくけっかを何度なんども何度なんども確たしかめたあと、彼かれは真実しんじつを理解りかいしました。

宇宙うちゅうに新あたらしい物体ぶったいが現あらわれていたのです。

彼かれはすぐに、ほかの国くにの天文学者てんもんがくしゃたちに手紙てがみを書かきました。まもなく世界中せかいじゅうの観測所かんそくじょが、同おなじ空そらの場所ばしょへ望遠鏡ぼうえんきょうを向むけました。数日すうじつもたたないうちに、それについて疑うたがう余地よちはなくなりました。

これまで何なにもなかった場所ばしょに、奇妙きみょうな星ほしが現あらわれていたのです。

最初さいしょ、その発見はっけんは大おおきな興奮こうふんを呼よびました。宇宙うちゅうに新あたらしい物体ぶったいが現あらわれることは珍めずらしく、科学者かがくしゃたちはそれを熱心ねっしんに研究けんきゅうしようとしました。彼かれらは記録きろくを比くらべ、その明あかるさを測はかり、位置いちを慎重しんちょうに計算けいさんしました。

しかし、しばらくすると、その興奮こうふんは不安ふあんへと変かわり始はじめました。

その星ほしは動うごいていたのです。

夜よるごとに、それはほかの星々ほしぼしの間あいだで少すこしずつ位置いちを変かえていました。初はじめのうち、その動うごきは小ちいさく、測はかるのも難むずかしいものでしたが、日ひがたつにつれて変化へんかは次第しだいにはっきりしてきました。天文学者てんもんがくしゃたちは、その物体ぶったいが単たんなる遠とおい星ほしではないことにすぐ気きづきました。

それは宇宙うちゅうを突つき進すすむ、燃もえる世界せかいだったのです。

そして、それは太陽系たいようけいへ向むかっていました。

初はじめのうち、普通ふつうの人々ひとびとはこの危険きけんについて何なにも知しりませんでした。彼かれらはただ、夕方ゆうがたの空そらにとても明あかるい星ほしが現あらわれたことに気きづいただけでした。

町まちや村むらでは、人々ひとびとは通とおりで足あしを止とめ、上うえを見上みあげました。

「新あたらしい星ほしを見みた?」と人々ひとびとは互たがいに尋たずね合あいました。

「毎晩まいばん、もっと明あかるくなっている。」

子こどもたちは興奮こうふんしてそれを指ゆびさしました。日ひが暮くれたあと一緒いっしょに歩あるいていた恋人こいびとたちは、その美うつくしさに見みとれました。空そらのことをめったに考かんがえない人ひとでさえ、驚おどろきのあまり空そらを見上みあげていました。

新聞しんぶんは、その星ほしについての小ちいさな記事きじを載のせ始はじめました。初はじめのうち、その報道ほうどうは冷静れいせいで科学的かがくてきでした。記事きじは発見はっけんの内容ないようを説明せつめいし、空そらを横切よこぎるその星ほしの進路しんろの図ずまで載のせていました。

しかし、記事きじの調子ちょうしはすぐに変かわりました。

科学者かがくしゃたちは計算けいさんを終おえていたのです。

その新あたらしい星ほしは、単たんに太陽系たいようけいの近ちかくを通とおり過すぎるだけではありませんでした。

それは地球ちきゅうへ向むかっていました。

天文学者てんもんがくしゃたちの間あいだには大おおきな不安ふあんが広ひろがっていました。彼かれらは集あつまり、真剣しんけんな表情ひょうじょうで観測結果かんそくけっかについて話はなし合あいました。中なかには、自分じぶんたちの結論けつろんそのものを恐おそれているかのように、静しずかな声こえで話はなす者ものもいました。

最年長さいねんちょうの科学者かがくしゃの一人ひとりが、状況じょうきょうを注意深ちゅういぶかく説明せつめいしました。

「この物体ぶったいは、本当ほんとうの意味いみでの星ほしではありません」と彼かれは言いいました。「それは巨大きょだいな惑星わくせい、あるいは燃もえる物質ぶっしつから成なる世界せかいです。太陽たいようの重力圏じゅうりょくけんに入はいり、その進路しんろによって地球ちきゅうへ近ちかづいてきているのです。」

だれかが、いちばん重要じゅうような質問しつもんをしました。

「それは私わたしたちの惑星わくせいに衝突しょうとつするのですか。」

老おいた天文学者てんもんがくしゃは、ゆっくり首くびを振ふりました。

「いいえ。私わたしたちの計算けいさんによれば、それは近ちかくを通過つうかします。しかし、宇宙うちゅうにおける『近ちかく』というのは、私わたしたちにとってなお恐おそろしい距離きょりを意味いみしうるのです。」

彼かれは少すこし間まを置おいてから続つづけました。

「危険きけんなのは、その重力じゅうりょくと熱ねつです。」

やがて、その知しらせは科学かがくの世界せかいの外そとにも広ひろがりました。新聞しんぶんはより大おおきな見出みだしを載のせました。中なかには、その危険きけんをやさしい言葉ことばで説明せつめいしようとする書かき手てもいましたが、多おおくの人ひとは十分じゅうぶんには理解りかいできませんでした。

読者どくしゃの中なかには、科学者かがくしゃたちは大おおげさに言いっているのだと笑わらう者ものもいました。

一方いっぽうで、深ふかくおびえる者ものもいました。

教会きょうかいでは説教師せっきょうしがそのことを語かたり、大学だいがくでは哲学者てつがくしゃたちがそれを論ろんじました。カフェや広場ひろばでは、世界せかいが本当ほんとうに危険きけんにさらされているのかどうかをめぐって、人々ひとびとが議論ぎろんしました。

それでも、ほとんどの人々ひとびとは普段ふだんどおりの生活せいかつを続つづけました。

彼かれらは仕事しごとに行いき、家族かぞくの世話せわをし、眠ねむる前まえには毎晩まいばんその明あかるい星ほしを見上みあげました。

その間あいだも、その星ほしは宇宙うちゅうを静しずかに旅たびし続つづけていました。

夕方ゆうがたになるたびに、それはより大おおきく、より明あかるく見みえるようになりました。

数週間すうしゅうかんのうちに、それは空そらで最もっともまぶしい天体てんたいとなりました。その光ひかりは薄うすい雲くもを通とおしてさえ輝かがやきました。時ときには夜明よあけ前まえの早朝そうちょう、地平線ちへいせんの上うえで淡あわく光ひかって見みえることもありました。

天文学者てんもんがくしゃたちは、増ましていく不安ふあんとともにその進行しんこうを見守みまもりました。

観測装置かんそくそうちは、それが非常ひじょうに速はやい速度そくどで近ちかづいていることを示しめしていました。

そして、それが接近せっきんするにつれて、地球ちきゅうでは奇妙きみょうな変化へんかが起おこり始はじめました。

最初さいしょ、その変化へんかは小ちいさく見みえました。

その年としの冬ふゆは異常いじょうに暖あたたかかったのです。雪ゆきは予想よそうより早はやく解とけ、春はるが本当ほんとうに始はじまる前まえから川かわの水位すいいが上あがり始はじめました。農民のうみんたちはその違ちがいに気きづきましたが、理由りゆうは分わかりませんでした。

しかし、やがてその変化へんかはもっと劇的げきてきになりました。

海うみが不自然ふしぜんな動うごきを始はじめたのです。潮しおは、だれも見みたことがないほど高たかくなりました。海辺うみべの町まちでは、海水かいすいが波止場はとばを越こえ、近ちかくの通とおりを水みずで埋うめました。

海上かいじょうの船ふねからは、穏おだやかな海面かいめんに突然とつぜん巨大きょだいな波なみが現あらわれたという報告ほうこくが届とどきました。

科学者かがくしゃたちは、何なにが起おきているのかを理解りかいしていました。

近ちかづいてくるその星ほしが、強つよい重力じゅうりょくで地球ちきゅうを引ひいていたのです。

熱ねつもまた増ましていきました。

日ひごとに空気くうきは暖あたたかく感かんじられるようになりました。ある地域ちいきでは、人々ひとびとは春はるが早はやく来きたのだと思おもってその変化へんかを歓迎かんげいしました。しかし、その暖あたたかさはすぐに不快ふかいなものとなり、やがて危険きけんですらありました。

山頂さんちょうから雪ゆきが消きえました。

極地きょくちの氷こおりは解とけました。

莫大ばくだいな量りょうの水みずが海うみへ流ながれ込こむにつれて、川かわは大おおきくなり、流ながれも速はやくなりました。

同時どうじに、世界中せかいじゅうで嵐あらしが起おこり始はじめました。強烈きょうれつな風かぜが大地だいちを吹ふき抜ぬけ、家々いえいえや森もりを破壊はかいしました。空そらの半分はんぶんを覆おおっているかのような暗くらい雲くもの中なかで、雷かみなりは絶たえ間まなく光ひかりました。

多おおくの人々ひとびとは、何なにか恐おそろしいことが起おこっているのだと悟さとり始はじめました。

最後さいごの数週間すうしゅうかん、その星ほしは空そらに浮うかぶ巨大きょだいな物体ぶったいとなりました。

夜よるには、満月まんげつよりも明あかるい激はげしい白しろい光ひかりを放はなちました。昼間ひるまでさえ、人々ひとびとはそれを青空あおぞらの中なかの淡あわい太陽たいようのようにはっきりと見みることができました。

その表面ひょうめんは、動うごく炎ほのおをまとって燃もえているように見みえました。

その光景こうけいは多おおくの人々ひとびとを恐怖きょうふで満みたしました。

世界せかいの終おわりが来きたのだと信しんじる者ものもいました。

家族かぞくは集あつまって祈いのりました。押おし寄よせる海うみから逃のがれようとして高たかい山やまへ向むかう者ものもいました。また、危険きけんなど存在そんざいしないと信しんじようとして、いつもどおりの暮くらしを続つづける者ものもいました。

しかし科学者かがくしゃたちは、もっとも危険きけんな瞬間しゅんかんが近ちかづいていることを知しっていました。

ついに、その星ほしは旅たびの中なかで最もっとも地球ちきゅうに近ちかい地点ちてんに達たっしました。

その日ひ、地球ちきゅうは混沌こんとんを経験けいけんしました。

海うみは巨大きょだいな水みずの壁かべとなって陸りくへ押おし寄よせました。海岸近かいがんちかくの町まちは丸まるごと波なみの下したに消きえました。船ふねはまるで小ちいさなおもちゃのように、はるか内陸ないりくへ投なげ飛とばされました。

地震じしんが大陸たいりくを揺ゆらしました。

山々やまやまは震ふるえました。

森もりは激はげしい風かぜの中なかで倒たおれました。

空そらは厚あつい雲くもと雷かみなりをともなう嵐あらしで暗くらくなりました。

何時間なんじかんものあいだ、世界せかいはばらばらに壊こわれていくように見みえました。

しかし、やがてその星ほしはゆっくりと遠とおざかり始はじめました。

その進路しんろは地球ちきゅうのそばを通とおり過すぎ、さらに深ふかい宇宙うちゅうへと向むかっていきました。距離きょりが広ひろがるにつれて、惑星わくせいを揺ゆるがしていた恐おそろしい力ちからも弱よわまり始はじめました。

風かぜは少すこしずつ静しずかになりました。

巨大きょだいな波なみはゆっくりと海うみへ戻もどっていきました。

嵐あらしは去さり、そのあとには静しずけさと破壊はかいだけが残のこりました。

多おおくの土地とちは永遠えいえんに変かわってしまいました。

海うみの下したに消きえた町まちもありました。引ひき裂さかれた地面じめんには新あたらしい湖みずうみや川かわが現あらわれました。広大こうだいな森もりは焼やけたり、嵐あらしに倒たおされたりしていました。

しかし、地球ちきゅうそのものは生いき残のこったのです。

その後ごの数週間すうしゅうかん、星ほしは空そらでさらに小ちいさくなり続つづけました。

夜よるごとに、それは太陽たいようから遠とおざかるにつれて小ちいさく、そして暗くらくなっていきました。やがて、それは再ふたたび無数むすうの星々ほしぼしの中なかの普通ふつうの星ほしのように見みえるようになりました。

そして、ある夕方ゆうがた、完全かんぜんに見みえなくなりました。

太陽系たいようけいの別べつの遠とおい場所ばしょでは、ある遠方えんぽうの惑星わくせいに住すむ天文学者てんもんがくしゃたちが、この出来事できごとを大おおきな興味きょうみをもって観察かんさつしていました。

彼かれらは強力きょうりょくな観測機器かんそくききを通とおして、その奇妙きみょうな星ほしが地球ちきゅうと呼よばれる小ちいさな青あおい世界せかいの近ちかくを通過つうかするのを見守みまもっていました。

そのうちの一人ひとりが、記録きろくに一ひとつのメモを書かき残のこしました。

「注目ちゅうもくすべき天文学的てんもんがくてき現象げんしょうだ」と彼かれは言いいました。「さまよう星ほしが、太陽たいようの小ちいさな惑星わくせいのすぐ近ちかくを通過つうかした。」

彼かれの同僚どうりょうは落おち着ついてうなずきました。

「あそこで何なにか重要じゅうようなことが起おきたのだろうか。」

二人ふたりはしばらくその問といについて考かんがえました。

それから再ふたたび静しずかな観測かんそくに戻もどり、穏おだやかな空そらを眺ながめ続つづけました。

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