最高のプレゼント

レベル1(初級)

デラとジムは 若わかい 夫婦ふうふです。 ふたりは 町まちの 小ちいさい アパートに 住すんでいます。 お金かねは あまり ありません。 でも、ふたりは とても 愛あいし合あっています。

今日きょうは クリスマスの 前まえの日ひです。 デラは 小ちいさい テーブルに すわって、お金かねを 数かぞえます。 コインを テーブルに 置おいて、もう一度いちど 数かぞえます。

「1ドル87セント」と、デラは 小ちいさい 声こえで 言いいます。

それが ぜんぶです。

デラは ジムに クリスマスの プレゼントを 買かいたいです。 特別とくべつな ものが ほしいです。 きれいな ものが ほしいです。 でも、1ドル87セントは すくないです。

デラは かなしいです。 ベッドに すわって、少すこし 泣なきます。 それから、鏡かがみを 見みます。

デラは 長ながくて きれいな 茶色ちゃいろの 髪かみが あります。 それは デラの いちばん いい ものです。 髪かみは 川かわの ように、背中せなかに 下おります。 ジムは デラの 髪かみが とても 大好だいすきです。

ジムにも 特別とくべつな ものが あります。 金きんの 時計とけいです。 それは ジムの お父とうさんの 時計とけいでした。 そして、その お父とうさんの お父とうさんの 時計とけいでした。 とても 古ふるくて、ジムに とって とても 大切たいせつです。

デラは もう一度いちど 髪かみを 見みます。 アイデアが あります。

古ふるい 茶色ちゃいろの コートと ぼうしを かぶります。 そして、寒さむい 道みちに 走はしります。 小ちいさい 店みせへ 早はやく 歩あるきます。

かんばんに 「ヘア グッズ」と 書かいて あります。

デラは 中なかに 入はいります。 女おんなの 人ひとが デラを 見みます。

「わたしの 髪かみを 買かいますか」と デラは 言いいます。

女おんなの人ひとは デラの 長ながい 髪かみを 見みます。 「はい。20ドルです」と 言いいます。

デラは うれしいです。 「切きって ください」と 言いいます。

女おんなの人ひとは デラの 長ながい 髪かみを 切きります。 今いま、髪かみは 短みじかくて、ぜんぜん ちがいます。 デラは 20ドルを もらって、店みせへ 走はしります。

さがして、さがして、さがします。 そして、やっと 見みつけます。

それは ジムの 金きんの 時計とけいの ための かんたんな 銀ぎんの くさりです。 きれいで、つよいです。 21ドルです。 デラは ぜんぶの お金かねを 出だします。

とても うれしいです。 ジムは きっと よろこびます、と 思おもいます。

家いえに 帰かえると、鏡かがみで 短みじかい 髪かみを 見みます。 少すこし こわいです。

「ジムは まだ わたしを 愛あいしていますか」と 思おもいます。 「男おとこの 子この ようです。」

デラは ばんごはんを 作つくって、待まちます。

すぐに、ドアの 音おとが 聞きこえます。 ジムが 入はいります。

ジムは 止とまります。 デラを 見みます。 何なにも 言いいません。

「ジム」と デラは 早はやく 言いいます。 「そんな 目めで 見みないで ください。 髪かみを 売うりました。 あなたに クリスマスの プレゼントを 買かいたかったです。 また のびます。 まだ わたしを 愛あいしています、と 言いって ください。」

ジムは デラの ところへ 来きます。 短みじかい 髪かみを 見みて、少すこし ほほえみます。

「もちろん 愛あいしています」と 言いいます。 「何なにも 変かわりません。」

それから、ジムは 小ちいさい 箱はこを デラに わたします。

デラは 箱はこを あけます。 中なかに きれいな くしが 入はいっています。 前まえに 店みせの まどで 見みました。 大好だいすきでした。 でも、とても 高たかかったです。

デラは くしを だいて、泣なきます。

「今いま、髪かみは 短みじかいです」と 言いいます。 「でも、また のびます。」

それから、えがおで ジムに プレゼントを わたします。

「どうぞ」と 言いいます。 「この くさりを 時計とけいに つけて ください。」

ジムは すわって、やさしく 笑わらいます。

「デラ」と 言いいます。 「くしを 買かう ために、時計とけいを 売うりました。」

ふたりは たがいに 見みます。 ふたりとも、いちばん 大切たいせつな ものを 売うって、相手あいての ために プレゼントを 買かいました。

今いまは プレゼントを 使つかえません。 でも、ふたりの 愛あいは つよくて、本当ほんとうです。

デラと ジムは とても 貧まずしいです。 でも、とても しあわせで、心こころは ゆたかです。

愛あいが あります。 それが いちばん すばらしい プレゼントです。

レベル2 (中級)

デラとジムは、町まちの小ちいさなアパートに住すんでいる若わかい夫婦ふうふでした。部屋へやは質素しっそで、家具かぐも古ふるいものでした。収入しゅうにゅうはあまり多おおくありませんでしたが、二人ふたりは心こころから愛あいし合あっていました。二人ふたりにとって、愛あいは快適かいてきな生活せいかつよりも大切たいせつなものでした。

その日ひはクリスマス・イブでした。デラはテーブルに座すわり、三回目さんかいめとなる貯金ちょきんの計算けいさんをしました。コインを小ちいさな山やまに分わけて、もう一度いちど足たし算ざんをしました。

1ドル87セント。

それが、彼女かのじょの持もっているすべてでした。何なんか月げつも前まえから、できるだけお金かねを使つかわないようにしていました。いちばん安やすい食たべ物ものを買かい、バスに乗のらずに歩あるきました。それでも、十分じゅうぶんではありませんでした。ジムに特別とくべつなクリスマスプレゼントをあげたかったのです。彼かれにふさわしいものを。でも、1ドル87セントはあまりにも少すくなく感かんじられました。

デラの目めに涙なみだがあふれました。小ちいさなソファに横よこになり、静しずかに泣なきました。数分後すうふんご、立たち上あがり、鏡かがみを見みました。

デラには一ひとつの大おおきな宝物たからものがありました。長ながくて美うつくしい茶色ちゃいろの髪かみです。肩かたより下したまで伸のび、光ひかりの中なかで輝かがやいていました。髪かみをほどくと、ひざの近ちかくまで届とどきました。ジムはその髪かみをとても愛あいしていて、「世界せかいでいちばん美うつくしい」と言いうこともありました。

ジムにも宝物たからものがありました。父ちちと祖父そふから受うけついだ金きんの時計とけいです。見みた目めはシンプルでしたが、多おおくの思おもい出でを持もっていました。ジムはその時計とけいを誇ほこりにしていましたが、新あたらしい鎖くさりを買かうお金かねがなく、古ふるい革かわのベルトを使つかっていました。

そのとき、デラは決心けっしんしました。

急いそいでコートと帽子ぼうしを身みにつけ、寒さむい冬ふゆの通とおりへ出でました。そして「ヘア用品ようひんいろいろ」と書かかれた店みせの前まえで止とまりました。

店みせの中なかで、背せの高たかい女性じょせいがデラの髪かみを見みました。

「私わたしの髪かみを買かってくれますか」とデラはたずねました。

女性じょせいは髪かみに触ふれ、うなずきました。「20ドルです」と言いいました。

デラはためらいませんでした。数分すうふんのうちに、長ながい髪かみは床ゆかの上うえに落おちました。頭あたまが軽かるくなり、不安ふあんもありましたが、20ドルをしっかり握にぎりました。

これで十分じゅうぶんなお金かねができました。

午後ごごのあいだ中じゅう、にぎやかな店みせを探さがしました。そしてついに見みつけました。ジムの時計とけいのための、シンプルなプラチナの鎖くさりです。上品じょうひんで丈夫じょうぶで、無駄むだな飾かざりはありませんでした。ジムにぴったりでした。値段ねだんは21ドル。デラは喜よろこんで支払しはらいました。

家いえに帰かえると、鏡かがみで短みじかい髪かみを見みました。少すこし巻まいて整ととのえましたが、大おおきな変化へんかは隠かくせませんでした。

「ジムががっかりしたらどうしよう」と思おもいました。「もう美うつくしくないと思おもったら?」

その夜よる、ジムが帰かえってきました。ドアを静しずかに閉しめ、デラを見みつめました。驚おどろきと戸惑とまどいが混まざった表情ひょうじょうでした。

「ジム」とデラは急いそいで言いいました。「そんなふうに見みないで。あなたにプレゼントを買かうために髪かみを売うったの。すぐにまた伸のびるわ。気きにしないでしょう?」

ジムは近ちかづき、短みじかい髪かみをじっと見みました。

「髪かみを切きったの?」とゆっくり聞ききました。

「ええ。でも私わたしは変かわっていないわ。あなたを愛あいしている気持きもちは同おなじよ。」

ジムはデラを抱だきしめ、やさしく微笑ほほえみました。「何なにがあっても、愛あいは変かわらないよ。ただ驚おどろいただけさ。」

そしてコートのポケットから小ちいさな包つつみを出だし、テーブルに置おきました。

デラが開あけると、中なかには美うつくしいくしのセットが入はいっていました。小ちいさな宝石ほうせきで飾かざられています。店みせの窓まどで何度なんども見みたことがあり、ずっと欲ほしいと思おもっていました。でも高たかすぎました。

胸むねに抱だき、涙なみだを流ながしました。「髪かみはなくなったけれど、また伸のびるわ。」

そして思おもい出だし、ジムに鎖くさりを渡わたしました。

「あなたの時計とけいにふさわしいものを見みつけたの。これで毎日まいにち使つかえるわ。」

ジムは静しずかに笑わらいました。

「デラ」と言いいました。「そのくしを買かうために、時計とけいを売うったんだ。」

しばらく二人ふたりは何なにも言いいませんでした。しかし、悲かなしい沈黙ちんもくではありませんでした。お互たがいが何なにをしたのか、すぐに理解りかいしました。いちばん大切たいせつな宝物たからものを手放てばなして、相手あいてのために贈おくり物ものを買かったのです。

今いまはその贈おくり物ものを使つかうことはできません。

それでも、後悔こうかいはありませんでした。

二人ふたりの行動こうどうは、失うしなうことではなく、愛あいの表現ひょうげんでした。本当ほんとうの贈おくり物ものは、鎖くさりやくしではなく、相手あいてのためにすべてを差さし出だす心こころでした。

デラとジムはお金かねの面めんでは貧まずしかったですが、愛あいの面めんでは豊ゆたかでした。その小ちいさなアパートで、クリスマス・イブの夜よる、二人ふたりの愛あいは王おうよりも賢かしこいものでした。

レベル3 (上級)

デラとジム・ヤングは、町まちの質素しっそなアパートに暮くらしている若わかい夫婦ふうふでした。住すまいは小ちいさく、家具かぐも飾かざり気けのないものでした。毎週まいしゅうの収入しゅうにゅうは、家賃やちんや食費しょくひ、暖房費だんぼうひを払はらうのがやっとでした。それでも、そのせまい部屋へやの中なかには、別べつのあたたかさがありました。物ものはほとんど持もっていませんでしたが、二人ふたりは静しずかな献身けんしんの心こころで深ふかく愛あいし合あっていたのです。

クリスマス・イブのことです。デラは小ちいさな木きのテーブルに座すわり、三度目さんどめとなる貯金ちょきんの計算けいさんをしていました。コインをきちんと山やまに分わけ、もう一度いちどていねいに足たし合あわせました。数かずが少すこしでも増ふえてくれれば、と願ねがいながら。

1ドル87セント。

それがすべてでした。何なんか月げつも前まえから、できるかぎり節約せつやくをしてきました。市場いちばで値段ねだんを交渉こうしょうし、交通費こうつうひを払はらわずに歩あるきました。それでも、その金額きんがくはあまりにも心こころもとないものでした。翌日よくじつはクリスマスです。デラは、自分じぶんの尊敬そんけいと愛情あいじょうを伝つたえられる贈おくり物ものをジムにあげたいと強つよく思おもっていました。ありきたりの品しなでは足たりません。彼かれにふさわしいものでなければならなかったのです。

失望しつぼうに胸むねをいっぱいにしながら、デラはせまいソファに横よこになり、静しずかに涙なみだを流ながしました。外そとでは冬ふゆの風かぜが窓まどガラスをたたいています。しばらくして立たち上あがり、鏡かがみの前まえに立たちました。

デラとジムが特とくに誇ほこりにしていたものが二ふたつありました。一ひとつは、ジムの金きんの時計とけいです。それは父ちちと祖父そふから受うけつがれた家族かぞくの宝物たからものでした。革かわのシンプルなベルトを使つかっていましたが、その価値かちはお金かねだけではありません。家族かぞくの歴史れきしと彼かれを結むすびつける大切たいせつな品しなでした。

もう一ひとつの宝物たからものは、デラの髪かみでした。長ながく、茶色ちゃいろで、光ひかりを受うけて輝かがやいていました。髪かみをほどくと、ひざ近ちかくまで届とどきます。ジムはその髪かみを、まるで貴重きちょうな宝石ほうせきを見みるような目めで眺ながめていました。

鏡かがみに映うつる自分じぶんを見みつめながら、デラの表情ひょうじょうは悲かなしみから決意けついへと変かわりました。コートを身みにまとい、寒さむい通とおりへ急いそぎ足あしで出でていきました。

やがて「各種かくしゅヘア用品ようひん」と書かかれた小ちいさな店みせの前まえで足あしを止とめました。中なかでは背せの高たかい女性じょせいが、専門家せんもんかの目めでデラの髪かみを見みつめました。

「私わたしの髪かみを買かっていただけますか」と、デラは心臓しんぞうの鼓動こどうを感かんじながらも落おち着ついた声こえでたずねました。

「20ドルで買かいましょう」と女性じょせいは答こたえました。

デラはためらいませんでした。数分後すうふんご、あの美うつくしい髪かみは床ゆかに落おちていました。頭あたまが急きゅうに軽かるくなり、不思議ふしぎな気持きもちになりましたが、しっかりとお金かねを握にぎりました。もう後戻あともどりはできません。

午後ごごいっぱい、にぎやかな店みせを歩あるき回まわり、品物しなものと値段ねだんを比くらべました。そしてついに見みつけました。ジムの時計とけいのための、シンプルなプラチナの鎖くさりです。上品じょうひんで洗練せんれんされ、余計よけいな飾かざりはありません。彼かれの静しずかな性格せいかくにぴったりでした。値段ねだんは21ドル。デラは満足まんぞくして支払しはらい、さきほどの悲かなしみを忘わすれました。

家いえに戻もどると、短みじかい巻まき髪がみを鏡かがみで見みつめました。できるだけ整ととのえましたが、その大おおきな変化へんかは隠かくせませんでした。

「ばかだと思おもわれるかもしれない」と考かんがえました。「もう美うつくしいと思おもってくれないかもしれない。」

その夜よる、ジムが帰宅きたくしました。ドアを閉しめると、すぐに足あしを止とめました。デラを見みつめる目めは、怒いかりでも笑わらいでもなく、もっと複雑ふくざつな感情かんじょうを含ふくんでいました。

「ジム」とデラは急いそいで言いいました。「そんな目めで見みないで。あなたのために髪かみを売うったの。すぐにまた伸のびるわ。気きにしないでしょう?」

ジムはゆっくり近ちかづき、短みじかい髪かみを見みました。

「髪かみを切きったのかい」と、やっと口くちを開ひらきました。

「ええ。でも他ほかは何なにも変かわっていないわ。あなたに特別とくべつなものをあげたかったの。」

ジムはやさしく彼女かのじょを抱だきしめました。

「君きみの行動こうどうで愛あいが減へることはないよ。ただ驚おどろいただけだ。」

そしてコートから小ちいさな包つつみを取とり出だし、テーブルに置おきました。

デラが開あけると、中なかには美うつくしいくしのセットが入はいっていました。繊細せんさいな宝石ほうせきで飾かざられています。店みせの窓まどで何度なんども見みたことがあり、手ての届とどかない品しなだと知しっていました。長ながい髪かみにぴったりの品しなでした。

しばらく声こえが出でませんでした。どれほど高価こうかだったかを思おもい、涙なみだがあふれました。

「髪かみはなくなったけれど、また伸のびるわ」とささやきました。

勇気ゆうきを出だして笑わらい、ジムに鎖くさりを渡わたしました。

「あなたの時計とけいにふさわしいものを見みつけたの。もう古ふるいベルトはいらないわ。」

ジムは座すわり、喜よろこびと皮肉ひにくが混まざった静しずかな笑わらいをもらしました。

「デラ」とやさしく言いいました。「そのくしを買かうために、時計とけいを売うったんだ。」

沈黙ちんもくが流ながれました。しかし、それは苦にがい沈黙ちんもくではありませんでした。二人ふたりはすぐにすべてを理解りかいしました。お互たがいの最大さいだいの宝物たからものを手放てばなし、相手あいてを喜よろこばせようとしたのです。現実的げんじつてきに言いえば、贈おくり物ものは使つかえなくなりました。

それでも、後悔こうかいはありませんでした。

二人ふたりの行動こうどうは、愛あいが市場しじょうの価値かちとは違ちがう尺度しゃくどで測はかられることを示しめしていました。最もっとも大切たいせつなものを差さし出だすことで、どんなお金かねでも買かえない寛大かんだいさを証明しょうめいしたのです。

デラとジムは、確たしかに貧まずしかったでしょう。小ちいさなアパートはその夜よるも寒さむかったにちがいありません。しかし、二人ふたりは物質的ぶっしつてきな富とみよりもはるかに価値かちあるものを持もっていました。互たがいのために犠牲ぎせいをいとわない心こころです。それは、どんな王おうよりも賢かしこい贈おくり物ものの姿すがたでした。

贈おくり物ものを意味いみあるものにするのは、その値段ねだんではなく、それを生うみ出だした愛あいなのです。

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