レベル1(初級)


あるよる世界中せかいじゅう人々ひとびとそらなにへんなものをました。

それはほしでした。

しかし、それは普通ふつうほしではありませんでした。

そのほしはとてもあかるかったです。ほかのほしよりもあかるかったです。あるひとは、それはしろのようだといました。あるひとは、それはちいさな太陽たいようのようだといました。

人々ひとびとうえて、それについてはなしました。

「あのほしなんですか」と人々ひとびときました。

あたらしいほしですか」

おおくのひとかりませんでした。

しかし、何人なんにんかの科学者かがくしゃはそのほしをとても注意ちゅういしてました。

一人ひとり科学者かがくしゃちいさなまちんでいました。かれ望遠鏡ぼうえんきょうっていました。毎晩まいばんかれ望遠鏡ぼうえんきょうそらました。

あるよるかれはそのあたらしいほしました。

最初さいしょかれはわくわくしました。

あたらしいほしだ!」とかれいました。

しかし、そのあとかれはもう一度いちどました。

そしてまたました。

そしてまたました。

すぐにかれ心配しんぱいになりました。

かれはたくさんのメモをきました。かみ数字すうじきました。夜遅よるおそくまではたらきました。

何時間なんじかんもたったあと、かれがり、しずかにいました。

「このほしうごいています。」

そのほしひとつの場所ばしょにとどまっていませんでした。

それは宇宙うちゅううごいていました。

そして地球ちきゅうかってうごいていました。

その科学者かがくしゃはほかの科学者かがくしゃ手紙てがみきました。

かれはそのほしについてはなしました。

すぐに世界中せかいじゅうおおくの科学者かがくしゃそらました。

かれらは望遠鏡ぼうえんきょう使つかいました。計算けいさんをしました。

しばらくすると、かれらはみなおなじことがかりました。

そのほしちかづいていました。

地球ちきゅうちかづいていました。

何人なんにんかの科学者かがくしゃこわくなりました。

一人ひとりとしをとった科学者かがくしゃが、人々ひとびとのグループにゆっくりはなしました。

「そのほしはただのほしではありません」とかれいました。

「それはおおきなえる世界せかいです。」

かれまり、したました。

「そして、それはわたしたちの世界せかいちかくにています。」

しかし、世界せかいのほとんどのひとはこれをりませんでした。

人々ひとびとはただあかるいほしていました。

人々ひとびとはそれがうつくしいとおもいました。

よるになると、人々ひとびととおりにってそらました。

どもたちはそらゆびさしました。

て!」とどもたちはいました。

あかるいほして!」

わらひともいました。

ねがいごとをするひともいました。

そのほしはしるしだとひともいました。

おおくのまちで、人々ひとびとはカフェやレストランでそのはなしをしました。

あるひとは、それは幸運こううん意味いみだといました。

べつひとは、それはわるいことの意味いみだといました。

しかし、人々ひとびと本当ほんとうのことをりませんでした。

毎晩まいばん、そのほしはもっとあかるくなりました。

すぐにそれはよるそら一番いちばんあかるいものになりました。

それはやまうみうえひかりました。

それはまち農場のうじょううえでもひかりました。

うみうえふねは、そのあかるいほしました。

船乗ふなのりたちはそれをはなしました。

「あんなほしたことがありますか」と一人ひとり船乗ふなのりがきました。

「いいえ」とべつ船乗ふなのりがいました。「ありません。」

科学者かがくしゃたちは研究けんきゅうつづけました。

かれらはひるよるそら調しらべました。

何度なんど何度なんど数字すうじたしかめました。

ついに、一人ひとり科学者かがくしゃ記者きしゃのグループにはなしました。

「そのほし地球ちきゅうちかくをとおります」とかれいました。

地球ちきゅうにぶつかりません。しかし、とてもちかくをとおります。」

記者きしゃたちはこれを新聞しんぶんきました。

すぐに世界中せかいじゅう人々ひとびとがそのニュースをみました。

おおくのひとはそれをしんじませんでした。

科学者かがくしゃ心配しんぱいしすぎです」と人々ひとびといました。

しかし、こわくなるひともいました。

ほしちかづくにつれて、へんなことがこりはじめました。

空気くうきあたたかくなりました。

そのとしふゆはいつもほどさむくありませんでした。

ゆきはやくとけました。

かわみずはじめました。

ある場所ばしょでは天気てんききゅうわりました。

つよかぜはげしいあめがありました。

べつ場所ばしょでは、とてもあつくなりました。

農家のうか人々ひとびとはたけくびりました。

へん天気てんきだ」とかれらはいました。

そのほしはまだおおきくなりつづけました。

毎晩まいばんもっとおおきくえました。

すぐに人々ひとびとひるでもそれをることができました。

あおそらなかしろひかりでした。

世界中せかいじゅう人々ひとびとがそれをました。

いのひとおおくいました。

いえなかひともいました。

科学者かがくしゃたちはおおきな心配しんぱいをしながらていました。

かれらはそのほしがとてもつよいことをっていました。

それは宇宙うちゅううごおおきな世界せかいでした。

その重力じゅうりょくつよかったです。

それは地球ちきゅういていました。

それからうみうごはじめました。

最初さいしょ変化へんかちいさかったです。

しかし、すぐにみずはどんどんたかくなりました。

おおきななみうみうごきました。

あるなみりくにぶつかりました。

ふねみずうえげられました。

おおくの場所ばしょうみりくおくまではいりました。

うみちかくのまちみずでいっぱいになりました。

人々ひとびとたか場所ばしょはしりました。

人々ひとびとてるものをちました。

しかし、おおくのものがうしなわれました。

あつさもつよくなりました。

空気くうきあつくておもかんじました。

きたみなみこおりがとけました。

おおくのやまからゆきえました。

かわはもっとおおきく、もっとはやくなりました。

あらしはもっとつよくなりました。

かぜまちもりでうなりました。

たおれました。

いえこわれました。

人々ひとびと安全あんぜんでいようとしました。

それでもほしはまだちかづいてきました。

それはそらでとてもおおきくなりました。

いま、それはえる世界せかいのようにえました。

それはおそろしいひかりかがやきました。

つよひとでも、それをるとこわくなりました。

「これでわりだ」とひともいました。

そして一番いちばんちかときました。

そのほし地球ちきゅうちかくをとおりました。

とてもちかくをとおりました。

うみはとてもおおきななみになりました。

やまれました。

人々ひとびとあしした地面じめんうごきました。

まちたおれました。

もりえました。

おおきなかぜ世界中せかいじゅうはしりました。

何時間なんじかんものあいだ地球ちきゅうおおきな混乱こんらんなかにあるようでした。

人々ひとびとおそれてさけびました。

動物どうぶつはあらゆる方向ほうこうはしりました。

そらくもでいっぱいでした。

しかし、ゆっくりとそのほし地球ちきゅうのそばをとおぎました。

すこしずつちいさくなりました。

おそろしいかぜまりはじめました。

うみはゆっくりもと場所ばしょもどりました。

あらしよわくなりました。

おおくののあと、そらはまたしずかになりました。

地球ちきゅういまとてもわっていました。

おおくのまちはなくなっていました。

おおくの土地とちわっていました。

しかし世界せかいはまだきていました。

地球ちきゅうたかうえで、そのほし宇宙うちゅうたびつづけました。

それは太陽たいようからとおくへうごきました。

そらなかでだんだんちいさくなりました。

すぐにまた普通ふつうほしのようにえました。

そしてあるよる人々ひとびとはもうそれをることができませんでした。

とお宇宙うちゅうで、ほかの惑星わくせいしずかに太陽たいようまわりをうごいていました。

あるちいさな惑星わくせいで、天文学者てんもんがくしゃたちはそらていました。

かれらはそのへんほしべつ世界せかいちかくをとおるのをました。

かれらはそれについてメモをきました。

一人ひとり天文学者てんもんがくしゃともだちにはなしました。

面白おもしろかったですね」とかれいました。

「ええ」ともう一人ひとり天文学者てんもんがくしゃいました。

ちいさな惑星わくせいちかくをほしとおりました。」

かれらはもう一度いちど望遠鏡ぼうえんきょうました。

「あの世界せかい生命せいめいは、とても大変たいへん時間じかんごしたでしょう」とかれいました。

それからかれらはまたしずかな仕事しごともどり、平和へいわほし見続みつづけました。

レベル2 (中級)


ある夕方ゆうがたそら奇妙きみょうあたらしいほしあらわれました。

最初さいしょは、ほとんどだれもそれにづきませんでした。よるそらほしでいっぱいで、そのほしちいさくとおくにえました。人々ひとびと仕事しごとのあといえかえり、家族かぞく夕食ゆうしょくをとり、とくなにかんがえずにねむ準備じゅんびをしました。

しかし、一人ひとりおとこはそれにづきました。

かれ天文学者てんもんがくしゃでした。天文学者てんもんがくしゃとは、そら研究けんきゅうする科学者かがくしゃです。毎晩まいばんかれちいさな観測所かんそくじょ望遠鏡ぼうえんきょう使つかってそらていました。かれ仕事しごとは、ほし惑星わくせい観察かんさつし、その位置いち記録きろくすることでした。

その夕方ゆうがたかれなにわったものをました。

あるはずのない場所ばしょほしがあったのです。

最初さいしょかれ自分じぶん間違まちがえたのだとおもいました。もしかすると、ノートに数字すうじ間違まちがえたのかもしれません。あるいは望遠鏡ぼうえんきょうただしくうごいていなかったのかもしれません。

かれはもう一度いちどたしかめました。

そして三回目さんかいめたしかめました。

それでもほしはそこにありました。

それはあたらしいほしでした。

その天文学者てんもんがくしゃはとても興味きょうみちました。かれ毎晩まいばんそのほし観察かんさつするようになりました。すると、すぐにかれ心配しんぱいさせるべつのことにづきました。

そのほしうごいていたのです。

最初さいしょ、そのうごきはとてもちいさいものでした。ほかのほし位置いちくらべなければ、ほとんどかりませんでした。しかし毎晩まいばんすこしずつ場所ばしょわっていました。

天文学者てんもんがくしゃおおくの正確せいかく測定そくていおこないました。そして、さまざまなくに天文学者てんもんがくしゃ手紙てがみきました。

「このほしてください」とかれきました。「あなたがなにるかおしえてください。」

まもなく世界中せかいじゅうおおくの観測所かんそくじょが、おな場所ばしょ望遠鏡ぼうえんきょうけました。

数日後すうじつご科学者かがくしゃたちはおな結論けつろんたっしました。

そらえるその物体ぶったい普通ふつうほしではありませんでした。

それは宇宙うちゅうすす巨大きょだいえる世界せかいでした。

そして太陽系たいようけいちかづいていました。

最初さいしょ、この情報じょうほうっていたのは科学者かがくしゃだけでした。普通ふつう人々ひとびとは、夕方ゆうがたそらあかるいあたらしいほしあらわれたとおもっただけでした。

まちむらでは、人々ひとびとがそのはなしはじめました。

「あのほして!」とだれかがいました。

今夜こんやはとてもあかるいね。」

どもたちは興奮こうふんしてそれをゆびさしました。夕食ゆうしょくのあと一緒いっしょあるいていた恋人こいびとたちは、そのうつくしさをまりました。これまでになか一番いちばんうつくしいほしだとひともいました。

新聞しんぶんもそのほしについての記事きじはじめました。

そらあたらしいほし」という見出みだしの記事きじもありました。

科学者かがくしゃたちは、それがめずらしい発見はっけんだと説明せつめいしました。おおくの読者どくしゃはそのはなし面白おもしろいとおもいましたが、とく重要じゅうようだとはかんがえませんでした。

結局けっきょくほしはとてもとおいものだからです。

どうしてほし地球ちきゅう生活せいかつ影響えいきょうするのでしょうか。

しかし天文学者てんもんがくしゃたちは研究けんきゅうつづけました。

毎日まいにちあたらしい計算けいさんおこないました。かれらはその奇妙きみょう物体ぶったいはやさとすす方向ほうこうはかりました。がたつにつれて、かれらの心配しんぱいおおきくなりました。

そのほしはとてもはやうごいていました。

そして、そのすすみち地球ちきゅうちかづいていました。

ある夕方ゆうがた科学者かがくしゃたちのグループがあつまり、この問題もんだいについてはないました。

一人ひとり年配ねんぱい天文学者てんもんがくしゃがゆっくりはなしました。

「この物体ぶったい本当ほんとうほしではありません」とかれいました。「それはえるガスといわでできたおおきな世界せかいです。太陽たいよう重力じゅうりょくなかはいり、わたしたちの惑星わくせいかっています。」

べつ科学者かがくしゃ重要じゅうよう質問しつもんをしました。

「それは地球ちきゅうにぶつかりますか。」

年配ねんぱい天文学者てんもんがくしゃくびりました。

「いいえ。わたしたちの計算けいさんでは、地球ちきゅうちかくをとおります。しかし、とてもちかくをとおるでしょう。」

かれすこかんがえてからつづけました。

「その重力じゅうりょくおおきな問題もんだいこすかもしれません。」

やがてそのニュースは新聞しんぶんにもひろまりました。

今回こんかい見出みだしもずっとおおきくなりました。

ほし地球ちきゅうちかづいている!」

おおくのひと好奇心こうきしんってその記事きじみました。科学者かがくしゃをすぐにしんじるひともいれば、不可能ふかのうだとってわらひともいました。

「どうしてほし地球ちきゅうちかづくんだ」と人々ひとびといました。

「きっと間違まちがいだ。」

しかし毎晩まいばん、そのほしはさらにあかるくなりました。

数週間すうしゅうかんのうちに、だれでもその変化へんかかるようになりました。

それはそら一番いちばんあかるいものになっていました。

普段ふだんほしないひとでさえ、それにづきました。

ほしちかづくにつれて、不思議ふしぎなことがこりはじめました。

まず天気てんきわりました。

そのとしふゆはあまりさむくありませんでした。ゆきはいつもよりはやくとけました。はるまえかわみずはじめました。

農家のうかひとたちははたけながら、このあたたかさについてはなしました。

今年ことしふゆへんだ」とかれらはいました。

やがて変化へんかはもっとおおきくなりました。

うみ様子ようすがいつもとちがはじめました。しおたかさはこれまでにないほどたかくなりました。うみみず浜辺はまべをおおい、うみちかくのみちにあふれました。

うみ航海こうかいしていたふねは、突然とつぜんおおきななみあらわれると報告ほうこくしました。

天気てんきおだやかなときでさえ、みずはげしくうごきました。

科学者かがくしゃたちは理由りゆう理解りかいしました。

ちかづいてくるほしつよ重力じゅうりょく地球ちきゅういていたのです。

同時どうじ空気くうきあたたかくなりました。

毎日まいにち気温きおんがりました。きたみなみではこおりがとけはじめました。おおくのやまからゆきえました。

大量たいりょうみずうみながみ、かわおおきくなりました。

そしてつよあらし世界中せかいじゅうこりました。

はげしいかぜ大地だいちとおり、いえもりこわしました。くらくもなかかみなりひかり、なが時間じかんあめつづきました。

いまではおおくのひとが、なに大変たいへんなことがきていると理解りかいしました。

最後さいご数週間すうしゅうかんで、そのほしそらでとてもおおきなものになりました。

よるにはつよしろひかりかがやき、満月まんげつよりもあかるくえました。昼間ひるまでも、あおそらなかあわひかりとしてえることがありました。

望遠鏡ぼうえんきょうると、その表面ひょうめんのようにえているようでした。

その光景こうけいおおくのひとおそれさせました。

世界せかいわりがたとおもひともいました。

家族かぞくあつまりいのりました。うみからとおやまげようとするひともいました。

しかし科学者かがくしゃたちは、一番いちばん危険きけんときちかづいていることをっていました。

ついにそのほしは、たびなか一番いちばん地球ちきゅうちか場所ばしょました。

その地球ちきゅうではおおきな混乱こんらんこりました。

うみ巨大きょだいなみとなり、りくせました。海岸かいがんまちなみしたえました。ふねはおもちゃのようにとおくまでされました。

地震じしん大地だいちらしました。

やまふるえました。

はげしいかぜもりたおれました。

そらあつくもかみなりあらしくらくなりました。

何時間なんじかんものあいだ世界せかいこわれてしまうようにえました。

しかし、ゆっくりとそのほしとおざかりはじめました。

そのみち地球ちきゅうとおぎ、さらに宇宙うちゅうおくすすんでいきました。距離きょりとおくなるにつれて、地球ちきゅうらしていたちからよわくなりました。

かぜはだんだんしずかになりました。

おおきななみうみもどりました。

あらしり、あとにはしずけさと破壊はかいだけがのこりました。

おおくの土地とち永遠えいえんわってしまいました。

うみしたえたまちもありました。かれた大地だいちにはあたらしいみずうみかわができました。もりえたり、あらしたおれたりしました。

しかし地球ちきゅうそのものはのこりました。

その数週間すうしゅうかんほしそらでだんだんちいさくなりました。

よるごとにちいさくくらくなり、太陽たいようからとおざかっていきました。やがてまた、たくさんのほしなか普通ふつうほしのようにえるようになりました。

そしてある夕方ゆうがた完全かんぜんえなくなりました。

とおはなれた太陽系たいようけいべつ場所ばしょでは、ある惑星わくせい天文学者てんもんがくしゃたちがこの出来事できごと興味深きょうみぶか観察かんさつしていました。

かれらは強力きょうりょく観測機器かんそくききで、その奇妙きみょうほし地球ちきゅうというちいさなあお惑星わくせいちかくをとおるのをていました。

一人ひとり天文学者てんもんがくしゃ記録きろくみじかいメモをきました。

興味深きょうみぶか天文学的てんもんがくてき出来事できごとだ。さまようほし太陽たいようちいさな惑星わくせいちかくをとおった。」

かれ同僚どうりょうしずかにうなずきました。

「そこでなに重要じゅうようなことがこったのだろうか。」

二人ふたりはしばらくその質問しつもんについてかんがえました。

それからまたしずかな仕事しごともどり、おだやかな星空ほしぞら観察かんさつつづけました。

レベル3 (上級)


はじめのうち、そのほしづいたひとはごくわずかでした。

それはんだしろひかりはなちながら、突然とつぜんそらあらわれました。最初さいしょ無数むすう星々ほしぼしなかちいさな一点いってんにすぎず、ほとんどのひとはほとんど注意ちゅういはらいませんでした。しかし、てん研究けんきゅうする人々ひとびとである天文学者てんもんがくしゃたちは、それほど不注意ふちゅういではありませんでした。かれらが望遠鏡ぼうえんきょうをのぞくと、そこに奇妙きみょうなものがえたのです。

そのあたらしいほしは、ほしがあるはずの場所ばしょにはありませんでした。

ある夕方ゆうがたしずかな観測所かんそくじょ一人ひとりはたらいていた天文学者てんもんがくしゃが、惑星わくせい観測かんそくしているときにそれにづきました。最初さいしょかれはきっとなにかの間違まちがいだとおもいました。望遠鏡ぼうえんきょう調整ちょうせいただしくなかったのかもしれません。あるいは、記録きろくなにかを間違まちがえたのかもしれません。しかし、観測結果かんそくけっか何度なんど何度なんどたしかめたあと、かれ真実しんじつ理解りかいしました。

宇宙うちゅうあたらしい物体ぶったいあらわれていたのです。

かれはすぐに、ほかのくに天文学者てんもんがくしゃたちに手紙てがみきました。まもなく世界中せかいじゅう観測所かんそくじょが、おなそら場所ばしょ望遠鏡ぼうえんきょうけました。数日すうじつもたたないうちに、それについてうたが余地よちはなくなりました。

これまでなにもなかった場所ばしょに、奇妙きみょうほしあらわれていたのです。

最初さいしょ、その発見はっけんおおきな興奮こうふんびました。宇宙うちゅうあたらしい物体ぶったいあらわれることはめずらしく、科学者かがくしゃたちはそれを熱心ねっしん研究けんきゅうしようとしました。かれらは記録きろくくらべ、そのあかるさをはかり、位置いち慎重しんちょう計算けいさんしました。

しかし、しばらくすると、その興奮こうふん不安ふあんへとわりはじめました。

そのほしうごいていたのです。

よるごとに、それはほかの星々ほしぼしあいだすこしずつ位置いちえていました。はじめのうち、そのうごきはちいさく、はかるのもむずかしいものでしたが、がたつにつれて変化へんか次第しだいにはっきりしてきました。天文学者てんもんがくしゃたちは、その物体ぶったいたんなるとおほしではないことにすぐづきました。

それは宇宙うちゅうすすむ、える世界せかいだったのです。

そして、それは太陽系たいようけいかっていました。

はじめのうち、普通ふつう人々ひとびとはこの危険きけんについてなにりませんでした。かれらはただ、夕方ゆうがたそらにとてもあかるいほしあらわれたことにづいただけでした。

まちむらでは、人々ひとびととおりであしめ、うえ見上みあげました。

あたらしいほした?」と人々ひとびとたがいにたずいました。

毎晩まいばん、もっとあかるくなっている。」

どもたちは興奮こうふんしてそれをゆびさしました。れたあと一緒いっしょあるいていた恋人こいびとたちは、そのうつくしさにとれました。そらのことをめったにかんがえないひとでさえ、おどろきのあまりそら見上みあげていました。

新聞しんぶんは、そのほしについてのちいさな記事きじはじめました。はじめのうち、その報道ほうどう冷静れいせい科学的かがくてきでした。記事きじ発見はっけん内容ないよう説明せつめいし、そら横切よこぎるそのほし進路しんろまでせていました。

しかし、記事きじ調子ちょうしはすぐにわりました。

科学者かがくしゃたちは計算けいさんえていたのです。

そのあたらしいほしは、たん太陽系たいようけいちかくをとおぎるだけではありませんでした。

それは地球ちきゅうかっていました。

天文学者てんもんがくしゃたちのあいだにはおおきな不安ふあんひろがっていました。かれらはあつまり、真剣しんけん表情ひょうじょう観測結果かんそくけっかについてはないました。なかには、自分じぶんたちの結論けつろんそのものをおそれているかのように、しずかなこえはなものもいました。

最年長さいねんちょう科学者かがくしゃ一人ひとりが、状況じょうきょう注意深ちゅういぶか説明せつめいしました。

「この物体ぶったいは、本当ほんとう意味いみでのほしではありません」とかれいました。「それは巨大きょだい惑星わくせい、あるいはえる物質ぶっしつから世界せかいです。太陽たいよう重力圏じゅうりょくけんはいり、その進路しんろによって地球ちきゅうちかづいてきているのです。」

だれかが、いちばん重要じゅうよう質問しつもんをしました。

「それはわたしたちの惑星わくせい衝突しょうとつするのですか。」

いた天文学者てんもんがくしゃは、ゆっくりくびりました。

「いいえ。わたしたちの計算けいさんによれば、それはちかくを通過つうかします。しかし、宇宙うちゅうにおける『ちかく』というのは、わたしたちにとってなおおそろしい距離きょり意味いみしうるのです。」

かれすこいてからつづけました。

危険きけんなのは、その重力じゅうりょくねつです。」

やがて、そのらせは科学かがく世界せかいそとにもひろがりました。新聞しんぶんはよりおおきな見出みだしをせました。なかには、その危険きけんをやさしい言葉ことば説明せつめいしようとするもいましたが、おおくのひと十分じゅうぶんには理解りかいできませんでした。

読者どくしゃなかには、科学者かがくしゃたちはおおげさにっているのだとわらものもいました。

一方いっぽうで、ふかくおびえるものもいました。

教会きょうかいでは説教師せっきょうしがそのことをかたり、大学だいがくでは哲学者てつがくしゃたちがそれをろんじました。カフェや広場ひろばでは、世界せかい本当ほんとう危険きけんにさらされているのかどうかをめぐって、人々ひとびと議論ぎろんしました。

それでも、ほとんどの人々ひとびと普段ふだんどおりの生活せいかつつづけました。

かれらは仕事しごとき、家族かぞく世話せわをし、ねむまえには毎晩まいばんそのあかるいほし見上みあげました。

そのあいだも、そのほし宇宙うちゅうしずかにたびつづけていました。

夕方ゆうがたになるたびに、それはよりおおきく、よりあかるくえるようになりました。

数週間すうしゅうかんのうちに、それはそらもっともまぶしい天体てんたいとなりました。そのひかりうすくもとおしてさえかがやきました。ときには夜明よあまえ早朝そうちょう地平線ちへいせんうえあわひかってえることもありました。

天文学者てんもんがくしゃたちは、していく不安ふあんとともにその進行しんこう見守みまもりました。

観測装置かんそくそうちは、それが非常ひじょうはや速度そくどちかづいていることをしめしていました。

そして、それが接近せっきんするにつれて、地球ちきゅうでは奇妙きみょう変化へんかこりはじめました。

最初さいしょ、その変化へんかちいさくえました。

そのとしふゆ異常いじょうあたたかかったのです。ゆき予想よそうよりはやけ、はる本当ほんとうはじまるまえからかわ水位すいいがりはじめました。農民のうみんたちはそのちがいにづきましたが、理由りゆうかりませんでした。

しかし、やがてその変化へんかはもっと劇的げきてきになりました。

うみ不自然ふしぜんうごきをはじめたのです。しおは、だれもたことがないほどたかくなりました。海辺うみべまちでは、海水かいすい波止場はとばえ、ちかくのとおりをみずめました。

海上かいじょうふねからは、おだやかな海面かいめん突然とつぜん巨大きょだいなみあらわれたという報告ほうこくとどきました。

科学者かがくしゃたちは、なにきているのかを理解りかいしていました。

ちかづいてくるそのほしが、つよ重力じゅうりょく地球ちきゅういていたのです。

ねつもまたしていきました。

ごとに空気くうきあたたかくかんじられるようになりました。ある地域ちいきでは、人々ひとびとはるはやたのだとおもってその変化へんか歓迎かんげいしました。しかし、そのあたたかさはすぐに不快ふかいなものとなり、やがて危険きけんですらありました。

山頂さんちょうからゆきえました。

極地きょくちこおりけました。

莫大ばくだいりょうみずうみながむにつれて、かわおおきくなり、ながれもはやくなりました。

同時どうじに、世界中せかいじゅうあらしこりはじめました。強烈きょうれつかぜ大地だいちけ、家々いえいえもり破壊はかいしました。そら半分はんぶんおおっているかのようなくらくもなかで、かみなりなくひかりました。

おおくの人々ひとびとは、なにおそろしいことがこっているのだとさとはじめました。

最後さいご数週間すうしゅうかん、そのほしそらかぶ巨大きょだい物体ぶったいとなりました。

よるには、満月まんげつよりもあかるいはげしいしろひかりはなちました。昼間ひるまでさえ、人々ひとびとはそれを青空あおぞらなかあわ太陽たいようのようにはっきりとることができました。

その表面ひょうめんは、うごほのおをまとってえているようにえました。

その光景こうけいおおくの人々ひとびと恐怖きょうふたしました。

世界せかいわりがたのだとしんじるものもいました。

家族かぞくあつまっていのりました。せるうみからのがれようとしてたかやまかうものもいました。また、危険きけんなど存在そんざいしないとしんじようとして、いつもどおりのらしをつづけるものもいました。

しかし科学者かがくしゃたちは、もっとも危険きけん瞬間しゅんかんちかづいていることをっていました。

ついに、そのほしたびなかもっと地球ちきゅうちか地点ちてんたっしました。

その地球ちきゅう混沌こんとん経験けいけんしました。

うみ巨大きょだいみずかべとなってりくせました。海岸近かいがんちかくのまちまるごとなみしたえました。ふねはまるでちいさなおもちゃのように、はるか内陸ないりくばされました。

地震じしん大陸たいりくらしました。

山々やまやまふるえました。

もりはげしいかぜなかたおれました。

そらあつくもかみなりをともなうあらしくらくなりました。

何時間なんじかんものあいだ、世界せかいはばらばらにこわれていくようにえました。

しかし、やがてそのほしはゆっくりととおざかりはじめました。

その進路しんろ地球ちきゅうのそばをとおぎ、さらにふか宇宙うちゅうへとかっていきました。距離きょりひろがるにつれて、惑星わくせいるがしていたおそろしいちからよわまりはじめました。

かぜすこしずつしずかになりました。

巨大きょだいなみはゆっくりとうみもどっていきました。

あらしり、そのあとにはしずけさと破壊はかいだけがのこりました。

おおくの土地とち永遠えいえんわってしまいました。

うみしたえたまちもありました。かれた地面じめんにはあたらしいみずうみかわあらわれました。広大こうだいもりけたり、あらしたおされたりしていました。

しかし、地球ちきゅうそのものはのこったのです。

その数週間すうしゅうかんほしそらでさらにちいさくなりつづけました。

よるごとに、それは太陽たいようからとおざかるにつれてちいさく、そしてくらくなっていきました。やがて、それはふたた無数むすう星々ほしぼしなか普通ふつうほしのようにえるようになりました。

そして、ある夕方ゆうがた完全かんぜんえなくなりました。

太陽系たいようけいべつとお場所ばしょでは、ある遠方えんぽう惑星わくせい天文学者てんもんがくしゃたちが、この出来事できごとおおきな興味きょうみをもって観察かんさつしていました。

かれらは強力きょうりょく観測機器かんそくききとおして、その奇妙きみょうほし地球ちきゅうばれるちいさなあお世界せかいちかくを通過つうかするのを見守みまもっていました。

そのうちの一人ひとりが、記録きろくひとつのメモをのこしました。

注目ちゅうもくすべき天文学的てんもんがくてき現象げんしょうだ」とかれいました。「さまようほしが、太陽たいようちいさな惑星わくせいのすぐちかくを通過つうかした。」

かれ同僚どうりょういてうなずきました。

「あそこでなに重要じゅうようなことがきたのだろうか。」

二人ふたりはしばらくそのいについてかんがえました。

それからふたたしずかな観測かんそくもどり、おだやかなそらながつづけました。

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